「GATTACA-ガタカ」をDVD鑑賞した。友人に<観て損なし>と電話で言われ、以前、低価格DVDを発注したのだが、在庫なしで断られた、いわくつきの映画だ。
それから、なんのことはない。三ヶ月後には再々販されているのをネットで発見した。で、即注文、いろんなドタバタを経て、どうにか鑑賞したのだ。
ネットで映画評を拾っても、多数の高評価を受けている。
中には、<観ていない人は、絶対観た方がいい>なんてのがあった。
冒頭は、なかなか感心させられた。
命題は、要約すれば「運命は、不変か?」という事だろう?
少なくとも、それに真っ向から抗い立ち向かう人間には、"ドラマ"が生じる事に間違いはない。
最初から、あきらめて何もしない人間には、"ドラマ"なんか生じえようがないのである。
何故、勝てる筈のない弟との遠泳の競争で、主人公が勝ち得たのか?
その理由が明かされた時、少々、私にも"熱い"思いが駆け抜けた。
光の満ちあふれた世界もまた、白い闇の世界という事か?
エリート<適正者>達も決して喜々として人生を優雅に邁進している訳でもなく、常に成せる筈の栄光を勝ち得る事の出来なかった自身への嫌悪感と挫折感にさいなまられ、いやがおうもなく負の人生との均衡の闘いに身をさらされているのである。
ラストシーンの宇宙ロケットのデザインは、もうちょっと頑張ってほしいよと思うのは大多数ではないか?
いつの年代のロケットなんだいと醒めてしまう。金がかかってないのは、事前に承知していたが、フラッシュゴードンじゃあるまいに。
ここまで頑張ってんのにと、情けなく脱力してしまった。ここで頑張り切れていれば、映画の評価も印象も、もう一段上がっていたと思われる。
映画においての音楽もいかに重要なファクターか、あらためて再認識させられた。
暗鬱な物語である。が、予想される来るべき"未来"への警鐘として、この映画はそれだけで存在すべき理由があると思えた。
そして、それはもう始まっていると思えてならないし、決して絵空事ではないだろう。
なるほど、一見の価値は確かにあるだろう。今後も何回かは観るでしょう。いわゆる娯楽作品の範疇ではないが。
テーマには、関心があるし。でも、絶賛というわけではない。価値はあるという事である。
ユマ・サーマンは、キル・ビルの様にハジケた演技の方が似合うと思うのは、私だけか?
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1997年度作品 ★★★★ [最高は★五つ]
監督 ANDREW NICCOL
配給 SONY PICTURES ENTERTAINMENT INC.